導入事例の取材をお願いするとき、お客様が知りたいのは「何を話すのか」だけではありません。どこに掲載されるのか、写真や名前は出るのか、準備にどれくらい手間がかかるのか。社内で相談するためにも、こうした条件が必要です。
依頼メールには、お願いしたい内容と、公開までに必要な作業を具体的に書きます。条件が合わない場合も相談できると伝えておけば、相手は引き受けられる範囲を検討できます。
依頼前に、営業など普段の担当者に相談する
マーケティング担当から突然メールを送る前に、営業やカスタマーサクセスなど、普段お客様とやり取りしている担当者に相談します。先方の状況や、依頼を届ける相手を確認するためです。
営業担当などから趣旨を伝えてもらい、その後の調整を制作担当が引き受ける方法もあります。誰が依頼し、承諾後は誰が連絡するのかを決め、先方と話した内容も社内で引き継ぎましょう。お客様に同じ説明を繰り返してもらわずに済みます。
才流の取材許諾ガイドでも、営業担当との社内調整を行い、掲載イメージや公開前の原稿確認を文書で伝える進め方が紹介されています。口頭で相談した場合も、後から条件をメールにまとめておくと、先方の社内共有に使えます。
掲載先と、取材・確認にかかる手間を伝える
「導入事例にご協力ください」だけでは、先方が広報や上司に相談しにくいものです。次の内容を整理し、決まっていることと相談したいことを分けて伝えましょう。
| 伝えること | 具体的に書く内容 |
|---|---|
| 依頼の趣旨 | どの製品の、どんな取り組みを紹介したいのか |
| 掲載先と利用用途 | 自社Webサイト、営業用PDFなど、予定している利用先 |
| 取材の方法 | 訪問かオンラインか、所要時間の目安、撮影の有無 |
| お願いしたい相手 | 導入を検討した方、日々利用する方など、聞きたい内容に合う担当者 |
| 事前準備 | 質問票への目通し、公開できる数値の確認など、事前にお願いしたい作業 |
| 公開前の確認 | 原稿、写真、社名、氏名、肩書などを確認してから掲載・配布する手順 |
| 日程と窓口 | 希望時期、調整可能な範囲、問い合わせ先 |
所要時間には撮影を含むかどうかも書きます。事前の数値確認や取材後の原稿確認もお願いするなら、取材当日以外に必要な作業として伝えます。まだ決まっていない条件は、予定や相談事項として記載します。
取材依頼メールの文例
次の文例は、オンライン取材で、Web記事と営業用PDFを作る場合の例です。所要時間や利用用途は仮の条件なので、実際の計画に合わせて変更してください。
件名:[製品・サービス名]の導入事例取材についてのご相談
[会社名]
[お名前]様いつもお世話になっております。[自社名]の[氏名]です。
このたび、[製品・サービス名]をご検討中の企業に向けて、貴社の[具体的な取り組み]をご紹介する導入事例を制作したく、ご相談いたしました。
導入前にお困りだったことや、選定の際に重視された点、現在の活用について、お話を伺えればと考えております。
現時点では、以下の内容を予定しています。
・掲載先:弊社Webサイトの導入事例ページ
・その他の用途:営業担当が商談でお渡しするPDF資料
・取材方法:オンライン、約60分
・ご参加をお願いしたい方:導入の検討に関わった方、日々利用されている方
・撮影:今回は行いません。掲載用の写真は、ご提供いただけるものがあるか別途ご相談させてください
・取材希望時期:[時期]。貴社のご都合に合わせて調整いたします
質問案は事前にお送りしますので、お目通しをお願いいたします。事前に数値や資料をご確認いただきたい場合は、対象を絞って別途ご相談いたします。数値や社内情報については、公開可能な範囲でお話しいただければ幸いです。
Web記事と営業用PDFは、原稿や写真、社名・お名前・肩書の表記を公開・配布前にご確認いただき、ご了承を得てから使用いたします。公開時期や原稿確認の日程も、ご都合を伺いながら相談させてください。
上記の内容でご協力いただけるか、ご検討いただけますと幸いです。社内でのご相談に必要な資料や、掲載にあたっての条件がございましたら、お申し付けください。過去の記事の掲載イメージは[参考URL]からご覧いただけます。
ご多用のところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
[署名・連絡先]
まだ協力の可否を相談している段階なら、取材の希望時期を伝え、具体的な日時は了承後に調整します。普段のやり取りですでに協力の意向を聞いている場合は、このメールで日程候補も提示できます。
Web掲載と、別の用途への利用は分けて伝える
Web記事を営業用PDF、広告、セミナー資料などに使いたい場合は、その予定も最初に伝えます。Web掲載への了承だけで、他の用途まで承諾されたと扱わないようにしましょう。
とくに、記事全体を読む場合と、コメントだけを抜き出して広告に載せる場合では、受け取られ方が変わります。利用先だけでなく、どのような形で使うのかも相談しておきたいところです。
利用予定が増えたときは、対象の原稿やデザインを示して改めて確認します。「今後の各種販促活動に利用」と広く書くより、予定している媒体を具体的に挙げた方が、相手も社内で判断しやすくなります。
協力するメリットは、約束できる範囲で伝える
記事を通じてお客様の事業や取り組みを紹介できる場合は、その内容を説明して構いません。ただし、「集客につながります」「知名度が上がります」と、確認できない効果を約束するのは避けます。
事業紹介へのリンクを掲載する、完成記事を共有するなど、実際に対応できることを伝えましょう。お客様の取り組みを紹介するなら、製品への評価に加え、その取り組みの背景や工夫を聞く質問も用意します。
協力を断っても普段のサポートや取引が変わらないことが伝わる依頼にしたいところです。謝礼を用意する場合は、自社で条件を決めたうえで、その内容を先方に伝え、受け取れるかを確認します。
返答がないとき、条件が合わないときの進め方
返信がないときは、社内で確認中なのか、連絡先が違うのか、時期が合わないのかを、普段やり取りしている担当者から確かめてもらう方法があります。催促を重ねる前に、依頼が適切な相手に届いているかを見直してください。
「社名を出せない」と言われた場合は、匿名でどこまで紹介できるかを相談できます。「今は忙しい」なら時期を変える、「数字を出せない」なら業務の変化を中心にする、といった調整も考えられます。ただし、条件を変えても記事の目的が満たせないなら、別の候補を検討する方がよいでしょう。
断られた理由を聞く場合も、答えられる範囲で十分です。理由を詳しく説明してもらうことまで、お客様の負担にしないようにします。
承諾後は、取材条件を一度まとめ直す
協力の了承を得て日程などが決まったら、日時、参加者、質問票、撮影の有無、掲載先、原稿確認の窓口を一つのメールにまとめます。公開希望時期や原稿確認に必要な日数も相談し、途中で変わった条件は最新の内容にそろえてください。
取材への了承を得ても、完成した記事の掲載まで承認されたわけではありません。取材に応じていただいた後も、原稿確認と最終承認の手順に沿って、実際に公開する内容を確認していただきます。
取材後の確認を担う方にも、この段階で掲載先や利用用途を共有しておくと、原稿が届いてから条件の相談をやり直す手間を減らせます。
準備に使える無料テンプレート
制作を外注する場合は、自社と制作会社の役割分担も確認し、お客様への連絡窓口を決めておきましょう。


